ひさしぶりにリモくんに会った。
顔にひげを生やしていて、自分の知っている顔と数秒間一致しなかった。かみそり負けするから一時的に生やしているだけらしいけど、わたしの目の焦点が合わなくなったのかと数回まばたきした。内田百?のエッセイかなにかに、ひげをそってきた同僚(ご本人だっけ?)を、ひげが突然なくなったという事実に迷惑だと腹をたてているのがあって、それを思い出したよ。
リモくんはストレスを感じると、体ではなく精神のほうにガタがくるタイプだ。わたしはその逆で、すぐ体にくるから、ああ疲れてるなーと早めに気付くことはできる。リモくんは頑丈だし、弱音を吐こうとしなし、自分にできないことがあると、そのこと自体を許せない。自分にも厳しいけど、他人にも厳しいところがある。こういうタイプの人は、彼のリジッドな性格と合理的な思考回路を引っ掻き回す連中とつきあわなくてはならなくなったとき、精神のほうがSOSを発してしまうらしい。世の中には彼よりバカな人間なんてザラにいるのだが、たいてい後者のほうが打たれづよい、というか、怒られても怒鳴られても軽蔑されても懲りないものだ。不条理な思考パターン、うっとうしいまでの依存性、学習能力のなさ、判断力の欠如、それでいて自己中心的、そんな連中に悩まされて、リモくんは考えをあらためるところがあったらしい。とりあえず今は、体を休めつつ、今の環境に慣れるよう自己改造の真っ最中、というかんじにみえる。
放っておいても大丈夫、といいきるには、厳しさと危うさが表裏一体になっている分、一時は少し心配もした。でも最近は弱音のはきかたもうまくなってきたので、バランスのいい状態になってきたのかなと思っている。