無駄と有用性の境目

 家のなかにあふれる物をどうやって整理したらいいか、のノウハウ本が巷にあふれている。参考になるのがあれば参考にしようと、ぱらぱら見たりする。たいていワードロープをどう管理するかという話ものっていて、3年ぐらいを目処に、一度も袖をとおさなかったら処分しろ、とアドバイスがされていたりする。
 わたしは思い切りの悪い性格なので、気に入っていた服や値の張った服はなかなか捨てられない。ノウハウ本は読んでも、あまり実行に移すことは少ないかも・・・。じゃあいつまでも箪笥のこやしでいいのか、となるんだけれど、こやし状態になっていた服がもう一度復活することだってある。
 今年の冬に買ったウールのカーディガン、青い色が気に入ってこのところずっと着ている。これのインナーに合わせるのに丁度いい薄手の青色セーターが、箪笥の奥に眠っているのを思い出して、久しぶりに引っ張り出してきた。適度にくたっているけれど、インナーにするからあまり目立たないし、色合いはすごく合っている。捨てなくてよかった〜と、ちょっとうれしかったりする。
 合理的思考のノウハウ本は、「無駄を無駄と認識せよ!そして無駄をなくせ!」とせまってくるんだけど、無駄と有用性の境目なんてあいまいだと思うのね。セーターは一例だけど、物にしても自分の思考回路や行動にしても。そりゃ物をためこむのも限度はあるけど、その限度は人それぞれ違うはず。「こうすればよい!」という単純化されたルールの提示には、少々押し付け感も感じ取ってしまうわけで・・・。物事を単純化して汎用性を高めるのが、ノウハウ本の宿命だから仕方ないにしてもさ。
 ・・・曖昧な部分も全部「無駄」と判断してくる功利的で合理的な思考パターンの単純さが、いやなのかな。

やっぱり餃子が食べたくなった

 雪のふりつもった昨日は、最後に少しだけ残った強力粉と薄力粉で餃子の皮を作ることにした。そう、連日の餃子ニュースのおかげですっかり餃子が食べたくなったのです。聞けば世間でも餃子の売り上げが伸びているとか。人間考えることは同じというか、胃袋を誘導するのは簡単というか。
 しかし、餃子を最初から手作りするのは、慣れていないと時間がかかって大変だった。皮を丸く広げていくのが難しい! それに具にしっかり下味をつけたつもりだったけど、やっぱり薄味すぎたかも。皮はさすがに美味しかったけど、まだまだ検討の余地ありというところだった。
 強力粉はついに底をつきたので、また大量注文をする。20キロほど買い込んだので、当分もつでしょう。いったい4月からどれだけ値上げするんだろう・・・戦々恐々としております。
 でもここんところ、米食べよう気分も高まっている。高まりついでにとうとう糠床作りに手を出した。家に糠床用の壺がずっと転がっていて、糠さえ買ってくれば始められたんだよね。毎日かき回す手間とか大変だけど、夏になったらどうすればいいのかまだよく分からないんだけど、とりあえず糠づけを食べられるようになった。一度アルコール臭が抜けなくて苦労したけど、ネットで対処法を探してなんとか回復した。こうやって糠床に愛着が湧いていくのね。

大阪に雪が積もるなんて

 めったにないことです。
 たいがい降っても淡雪で、一瞬のことなのだけれど、今日は今朝からがんがんに降って、あっというまに銀世界になった。めずらしいからうれしいのだけれど、夕方になっても降り止まないと食べるものがなくて困るのが目に見えていたので、とりあえず緊急買出しに行く。行くのはいいけど、雪のつもった道を歩くのは慣れていないし、油断すると滑りそうでこわい。気がつくとペンギン歩きになっていた。
 食材を買い込んでしまうと、もう一歩も外に出る気が失せてしまう。エアコンもかけっぱなしで、食べるか寝るかのだらけた生活になってしまう。太るわーこんな生活。

青森・秋田・岩手のアンテナショップ

 心斎橋にある美術館に行こうとしたとき、藁をかぶった不気味な人形が置いてある店があった。思わず気をとられて見てみると、青森・秋田・岩手の物産を売っているアンテナショップだった。この人形はなまはげなのね・・・インパクトあるなあ。思わず中に入っちゃったよ。
 ところでこのお店、デパートの物産展(高い・混んでる・だから行かない)より断然いい。関西ではみないような商品がたくさん置いてあって、おまけに値段が若干安め。お酒や三陸沖の海産物、リンゴのお菓子・ジャム、蜂蜜にハーブティ、米どころだから煎餅なども充実。貝柱の干物など、コンビニで買うものより量も多くて薄味なので、すごくいい。大好きなリンゴに特化した商品がたくさん置いてあったのもうれしい。りんごキャラメルを買ってみる。それから「ゆべし」も買った。お茶請けにして食べたけど、これ素朴な味わいながら、もっちりとしていて濃い味で、美味しいね。蜂蜜は今食べている分が切れたら、また買いにこようかな。国産蜂蜜のわりには値段が安めだと思う。
 とにかく、心斎橋にいったら絶対また行こう。他の県のアンテナショップめぐりもしたい!

中国産冷凍餃子薬物混入事件

 中国産餃子に薬物混入の事件。海の向こうのニュースではときどきあったけど、ついに上陸してきたかー。
 去年の食品偽装が騒がれたころから、冷凍モノにかぎらず、調理済みのお惣菜は買わないようにしていた。野菜や肉の素材だったら原産地表記があるけれど、調理してあるものは原産地まで書いていないから、怪しいものは買わないという基準で対応していた。だから今回もとりあえずは大丈夫なのだけど、スーパーで買い物するにしても、商品に対する信用が自分のなかですごく落ちているなとあらためて思った。以前は買っていたけれど、今は買わないという商品が確実に増えている。前よりも高い値段で購入するようになったのも多い。とくにお茶っ葉はそう。有機栽培と書いてあるのを買うようにしているけれど、今いちばん恐れているのは、「有機栽培偽装表示」かも(ジャムかなにかですでに起こっているけれど)。
 あ、でもよく考えたら、デパ地下でお惣菜を買って帰る、という行動パターンは続いているわ。551の甘酢団子、好きでよく買って帰るのだけれど、だいじょぶなんでしょか・・・。

『自殺自由法』

 戸梶圭太『自殺自由法』を読む。
 自殺自由法が日本に施行されてから、自殺(自逝)が個人の自由となる。行政が積極的に後押し、苦痛なしに死ねる施設をつくり、自殺したい人々を積極的に施設へと誘導する、という内容。以下、簡単な感想。
 タイトルにもなっている自殺自由法というコンセプトがまず秀逸。ナチスのユダヤ人絶滅収容所やニュルンベルク法、安楽死問題などを思い出させるし、思考実験としてはとてもおもしろいネタだな、と思った。
 でも内容に関しては、この法律に振り回される人間や社会のほんの一部しか描いていない。自殺したくもなるような環境や境遇にある人々や、それによってうまい汁を吸おうとする人間のギラギラした部分は書かれている。でもそこで終わってしまっている。ある意味、最後まで変化がなくてワンパターンだったので、最後のほうは飽きてしまった。風刺もさほど毒が効いているとも思えなかったし。
 なんというか、コンセプトはいいのに、外堀しか埋めていないかんじ。もっと内堀を埋めた内容を想像していたので、物足りなく思った。たとえば、この法案が成立するまでの過程――自殺の権利をめぐっての刑法学者や法医学者や哲学者の議論とか、反対する学者がナチ時代のように亡命を余儀なくされたのか、あるいは粛清されたのか、法案成立をめぐっての政治家の動向やこのときの政権がどんな政体だったのか等々、もっと思考実験の程度を上げられるネタだったんじゃないかな、と思った。毒が効ていくるのはそれからかな。

湯たんぽ

 夏の暑さは我慢できるけれど、冬の寒さは我慢できない性質です。よって、クーラーは不用だけど、暖房器具はないとツライ。
 氷のように冷たい足元を湯たんぽで温め、手には指先のでる手袋、ひざかけ毛布、そしてオイルヒーターと加湿器をつけて、PC前に座っている。手先足先が温まるのがいちばん快適。おなかまわりを温めるのがいいらしいけれど、末端まで熱が行く前に冷えているのか、ちっとも温まらないし。あとしょっちゅう温かい飲み物を飲んでいるかも。
 湯たんぽは流行っているからと去年買って、快適さのあまり、ひたすら使っていた。でもニュース等で低温やけどの話も同時に聞いて、足指の痛みはもしかしたら低温やけどじゃないかと気になりだした。とにかくずーっとぴりぴり痛む。湯たんぽのせいかと気になって、気に病むよりはと病院にいき、医者に失笑されて帰ってくる。去年の冬の話だけど、多分いつものシモヤケだったのね・・・。慣れないものを使うから・・・。
 湯たんぽで思い出すのは、森茉莉のエッセイ。彼女も湯たんぽ愛用者だった。ただ、昔は文章を読んでも、湯たんぽってどういうものなのかイマイチよく分からなかった(はやりだしたの最近だもんね、実家にはなかったし)。でも湯たんぽ抱えて生活しているという森茉莉の姿が妙におもしろおかしかった。温かいから、ついつい家のなかでも抱えて歩いてしまうアイテムだったりするのが、今となってはよく分かる。

新しい図書館&おしゃれ意欲復活

 住んでいる地域の図書館が新しい建物になった。以前と比べると段違いにキレイな建物で、スペースも広く、一気に都会化したかんじ。こんな予算があるのか〜?と思ったりもするけれど、図書館がきれいなのはなんとなくうれしい。ついつい延滞しがちになるので、ペナルティーがかけられないように気をつけよう。というか、ちゃんと本を返しにいこう。
 久々に映画鑑賞。『ラヴァーズ・キス』と『インストール』。感想は、まあ、あんまりないのですが、また書けたら書こう。あと、図書館で借りた『長くつしたのピッピ』も見る。ふ、古い。ピッピが馬をかかえるシーンなんて、合成しているのが丸分かりで、ある意味笑える。
 物価値上がり等のニュースに接して気分的に不況モードなので、バーゲンには行かないようにしようと思っていた。買い換えたかったジーンズだけ買って、欲望を封印したのだが、やはり誘惑に負けてしまう。ベージュのスカートと紫っぽい色の混じった青色のウールのカーディガンを購入。色合いに一目ぼれして、つい・・・。
 でも今おしゃれ意欲が急上昇中。やっぱり自分が楽しくなる格好をすると、日々の生活にも張りが出るよね。青色の石のついたピアスもクリスマス・プレゼントでもらっていたので、それとあわせるのが楽しい。

国立ロシア美術館展

 三連休に加えて天気も悪くなかったので(寒かったけど!)、思い立って美術館に行くことにした。ネットで調べて、サントリー・ミュージアムの国立ロシア美術館展に行くことにする。
 海遊館のあるところで、雪の上に寝そべるペンギンがいるのを見たりして、美術館に行くまでは楽しかった。しかし!あまりの混雑ぶりに気分が一気に萎える。チケット買うのも入場するのも延々行列。こんなに混んでいるとは知らなかった。有名人画家の作品があるわけでもないのに、なんでこんなに混んでいるの?ロシアブームなの?みんなロシアが好きなの?
 人が多すぎてあまりちゃんと見れていないのだけれど、18世紀後半から20世紀初頭までのロシアの絵画がまとまって紹介されていて、個人的にはとてもおもしろかった。とくに19世紀後半に、それまでのサロン的な作風がリアリズムと分裂していくさまは、当時のロシアの社会状況を反映したものだろうから、とても興味深い。貧しい人々や農民や革命家の姿が描かれた作品も趣があった。20世紀に近づいて、抽象にいく直前のところで終わっていたのも、ニクイ演出かもしれない。わたしとしては、抽象画がなかったのは残念なんだけど。
 ロシアのカーニヴァルの様子を描いた絵は、ニキータ・ミハルコフの映画『シベリアの理髪師』を思い出した。ロシアのカーニヴァルってむちゃくちゃ楽しそうなんですけど。