お仕事帰り、『ブロークバック・マウンテン』を観てきた。前評判が高かったので、情報をシャットアウトするのが大変だった。途中までは淡々として観れたけど、最後はもう涙ボロボロ。涙をふこうとかばんのなかからハンドタオルを出そうとするが、モノを詰め込みすぎててなかなか出てこない。心が揺さぶられて涙が出ているわりには、イライラ曲線も同時にうなぎ上り状態。今度から映画みるときは、ポケットにハンカチもしのばせておこうと反省した。感想はまた今度に。
ところで、映画館にいくまえに、近くのカフェで豆腐プリンを食べた。黒蜜と黄粉をかけて食べるのだが、まったりしていて美味しい。ジャスミン茶とあわせると、さっぱりしていて余計においしい。煎茶と善哉の組み合わせに似ているかも。
春の一日
今朝、パン焼き機で焼いたパンのなかに、乾燥防止剤が破裂して黒くなった粉末が混じっているのを発見して、ショックを受ける。昨日の夜中、寝ぼけ眼で粉を配合していたときに、ふすまのなかに入っていたものが混じりこんだらしい。なんで気が付かないの??と我ながら唖然としたが、1.5斤パンをそのままゴミ箱行きにしなくてはならないことにひたすら涙。
そんなわけで今日はパンを焼く気が失せ、失せたついでに、この冬最後のチーズフォンデュのために、隣町までフランスパンを買いに行くことにした。自転車を走らせていると、紅木蓮、百木蓮、雪柳、桜、梅と春の花が次々目に飛び込んでくる。ついでに花粉も飛び込んできて、目がしぱしぱする。春ですね。
隣町のモールに行ってしまうと、パンを買うだけではすまず、結局、いろいろ散財してしまった。まず豆狸(まめだ)のお稲荷さん。山葵のがとくに好き。黒糖のお稲荷さんもあって、めずらしいのでそれも買う。豆狸は見つけるとつい買ってしまうんだよなあ。もう条件反射。関西のお稲荷さんはふつう狐の耳の形で三角なのだが、なぜかここのは俵型。関東風なんだろうか? でも発祥は大阪梅田ってなってるんだけど? あと、京都小山園の抹茶クリームロール。サクサク感と甘さ控えめの抹茶クリームが美味しい。
本屋さんにもよって、『アンティゴネー』と『大奥』を買う。『大奥』はジェンダー逆転設定に興味があって気になっていた作品(将軍が女!)。『アンティゴネー』はこのまえジュディス・バトラーの『アンティゴネーの主張』を読んで、これがすごくおもしろく、オリジナルを読まねばと思っていたところだったから。
とはいえ、4月になってだいぶ忙しくなりそうなので、積読本が増えるだけかも・・・。当分、料理でストレス発散も無理っぽい。外食率が高まりそう。映画はなんとか時間をつくって、いいものを見たい(このまえ『オースティン・パワーズ』の続き物をみたけど、あまりのおバカさ加減に何も感想が出てこないので・・・)。
豚の角煮
圧力鍋を早速使ってみた。圧力がかかって、蓋についている重りがグルグル回転しだすと、ものすごい勢いで湯気が噴出してきた。コワすぎ!何度かやってやっと慣れてきたけど、圧をぬくときも機関車みたいに水蒸気が噴出すので、そのうち天井にカビが生えるんじゃなかろうか、と心配になる。とんでもない調理器具だわ。
ともあれ、最初は豆を煮てみた。簡単・早い・美味しい! 次にシュウマイを作って蒸篭にいれて蒸してみた。説明書どおりの時間配分ではイマイチの出来だったけど、時間を延長してゆっくり蒸してみたら、文句なしの出来になった。そして今日はとうとう豚の角煮に挑戦してみた。
角煮はけっこう好きな料理で、外食でメニューに載っていれば、とりあえず注文する一品。当たり外れも多いけど、お気に入りの店もあって、作るならあの店の味を目指そうと思っていた。出来栄えは、はっきりいって美味しかったですよ。味は満足。ただ、圧力鍋があったとしても、角煮は大変だった・・・。そりゃ何時間も煮込む必要なくトロトロになるのはすごいよ。でも油がものすごい。こんなに出るものなのかというくらいの油の塊が! 後片付けがこれまた大変で、洗っても洗っても、ってやつです。ラーメン屋とか中華料理屋がベタベタしているはずだわ。おまけに、普段はベジタリアンに近いような食生活のわたしにとって、味の濃い肉がこんなにあると胸焼けしてしまって。一週間分くらいの塩分をとった気分。角煮はハレの日の料理に決定。もう当分作らないと思う・・・。
圧力鍋がきた
ひょんなことから圧力鍋をもらった。母が押入れにもう一つ眠っているというから、「頂戴!てゆーか、下さい!」とお願いしたら快くくれた。なんでも、サイズが大きすぎて気に入らないから使っていなかったらしい。大は小を兼ねるというので、大きすぎることには問題はないでしょう(たしかに圧迫感がすごいけど)。圧力鍋があるといろいろできるらしい。でも実際にどうやって使うかよく分からないので、ちょっといろいろ調べてみなくては。個人的には蒸しパンを作りたいなあ。蒸篭で蒸してもうまくできないかったから。あとシチュー、などの煮込み系と豚の角煮とか定番のもの。でも扱い間違うと爆発するってほんと?
ところで今日はムサカを作った。ほんとに見かけが麻婆豆腐そっくりになった。麻婆豆腐がシルクロードをわたってムサカになったのでは、という仮説が一瞬頭をよぎった。いや麻婆茄子か? どうも茄子だとラザニアのように形が保てないみたい。もっとぎっしり茄子を詰めるか、ホワイトソースをもう少し固めに作るか、なのかなあ?
森茉莉の本
本棚の奥から森茉莉の『甘い蜜の部屋』を引っ張りだしてくる。いつもは手軽に読める文庫を手に取るのだけれど、今回はハードカバーの初版のほう。殺伐とした日常から、せめて夜寝る前だけでも手っ取り早く別世界を堪能したい・・・そんな欲求が、森茉莉のハードカバー版に向かった。なにせ、あの美文に加えて、ハードカバー版は旧かな遣いなのだ。ああ、もうため息つくくらい別世界・・・(もはや森茉莉は癒しアイテムと化している)。
ついでに『マリアの気紛れ書き』など引っ張り出してくると、『甘い蜜の部屋』の執筆後の話とかけっこうたくさん載っていて、これはこれでおもしろい。森茉莉はピイタア・オトゥールに思いいれが強かったけど、モイラの物語とは別に、オトゥールをモデルに小説を書きたいとか言ってる。
「私は将来、小説家としてもっと成長したら、オトゥールとオマアシャリフとをモデルにして、大人の恋物語を書きたいと思っている。男同士の実験心理学と英文学との二人の助教授の話である」とかなんとか。
この話って書かれてないよね?? 「日曜日には僕は行かない」とは別の話だよね? 気になって眠れない・・・。
パンレシピ6(アニスシード入りライ麦パン)
アニスシード入りライ麦パン・・・感激の美味さです。ハーブ入りのパンは初めて焼いたけど、焼き上がりのときに辺りに充満する匂いが強烈。食べられるんだろうかと心配になったけど、味のほうはぜんぜん問題なし。むしろ美味しい、美味しすぎる! 普段は油分を入れないで焼くけど、今回はオリーブオイルを少し入れて焼いた。
今サンドイッチ作りにはまっている。このパンを軽く焼いて、チーズだのマスタードだのトマトだの胡瓜だのサンチュだのを適当にはさんで、パラパラと塩を振って食べる。あまったらラップにくるんで冷蔵庫で冷やしておく。味がなじんでこれがまた美味しい。サンドイッチ用に薄く切れるか自信がなかったけど、心持薄めにカットするよう心がけた。まあ失敗してもいいじゃんと軽く考えて。薄く均一にスライスするのは難しいけど、ま、ナントカなります。
レシピ
・強力粉 350g
・ライ麦粉 50g
・塩 小1・5
・オリーブオイル 大1
・アニスシード 大1・5
・お湯 250cc
・ドライイースト 専用スプーンA0.7
分量は1.5斤分、専用スプーンで計量、国産小麦ゆえ水は少なめ、フランスパン風でセットして5時間ほど焼く。
ドライフルーツに飽きたらハーブ系に移行するのがいいかも。次はクミンシードで焼いてみよー。
あ、あと知らなかったんだけど、イーストは水に弱いので、パン焼き機が生地をこねはじめて、水と粉が混じったころに投入するといいらしい。そういう機能がついているパン焼き機もあるそうだけど、わたしのはついていないので、5−10分くらいたってから入れるようにしてみた。イマイチ膨らみの悪かったパンも、見違えるように膨らむようになった。手間のかけどころなのですね。
映画評(ユリイカ)&マドレーヌ型と蒸籠
青山真治監督の「ユリイカ」を見た。なんというか、いい映画だった。セピア色の映像が、子どもたちや沢井の心象風景とよく合っているのだろうな。最後ラジオから流れてきた音楽は誰の曲だったんだろう。
最近ちょっと気分がゆるみすぎ。やらなくちゃいけないことが終えられなくて、ずるずる一日が終わってしまう。ヘタに気分転換すると余計にずるずるしちゃう。
でもこの前気分転換と称して、難波の道具屋筋でマドレーヌ型と蒸籠を買いにいった。マドレーヌ型は貝殻の形のがほしかったけど、ないから仕方なく菊型を買った。そしたら次のお店に貝殻型があって、むっきーてなった。蒸籠はお店を回って一番安いところでゲットした。やっぱ蒸し物には蒸籠が一番だよね。
ついでに難波の高島屋にコム・シノワという神戸のパンやさんが入っていると聞いて、パンを買いに行った。でもパンとケーキとイート・インがセットになっているお試し品みたいな店になってた。パンも食パンメインの品揃えしかなく、ちょっとがっかり。しっかり買って帰ったけど、パンに特化しててほしかった!
ランチもここでボルシチを食べた。おいしいけどぜんぜん足らない量。ボルシチって赤カブの入ったトマトスープって味でいいのかなあ? 本場の味を知らないので、おいしいけど、ま、フツーという味が、いわゆる「ボルシチ」なのか判断しかねている。
・・・こんなかんじでダラダラしてます。
ユリイカ
eureka
2000年、日
監督:青山真治
出演:役所広司
宮崎あおい
宮崎将
ときどき、もしわたしが何かの事件の被害者であり生存者であるとしたら、この映画を見続けることはできるか、と問わざるをえないような作品に出会う。「ユリイカ」はそうした自問を抱かせる映画の一つであり、見るに耐えうる数少ない映画の一つだった。ずいぶん長い話だったように思うが、長さが気にならないほど時間は淡々と過ぎていった。
バス運転手の沢井(役所広司)と二人の兄妹・直樹と梢は(宮崎将・宮崎あおい)、ある日バス・ジャックに遭遇し九死に一生を得る。兄妹の目の前で犯人(利重剛)は次々と乗客を殺し、最後は刑事(松重豊)に射殺された。三人にとってその出来事は、過去から未来へとあたりまえのように続いていくはずの日々を凍結させる瞬間だった。兄妹は両親から見捨てられ、学校に行くことをやめ、言葉を失った。沢井も自分の住んでいた町から離れ、逃げていった。
かつてハンナ・アレントは、「暴力それ自身は言葉を発する能力をもた」ず、「暴力が絶対的に支配するところでは、〔……〕すべての物、すべての人間が沈黙せざるをえない」と述べた(『革命について』)。わたしたちは、社会的存在であるかぎりにおいて、言語の能力を与えられている。それはもっとも原初的な相互承認の手段であり、また、出来事に意味を与える方法である――少なくとも、意味付けという行為は、わたしたちの生にとって、不条理で無意味で残酷な現実と折り合っていくために必要な営みであるから。そしておそらく、言語が曲がりなりにも機能しうる社会空間と、言語が沈黙する絶対的な暴力状態の間は、断絶といっていいほどに懸け離れている。その間をつなぐ回路はあるのか、あるとすればどのような形でありうるものなのか――映画はこの荒野を描写しようとしていた。
兄妹がたった二人で暮らしているのを町の人間はみな知っている。けれどもその子たちが自分たちと同じ世界に生きていないことも、みな知っている。言葉が介在しえないところに佇む子どもたちに近寄っていったのは、かつて同じ暴力に直面した沢井だった(もう一人、明彦(斉藤陽一郎)という、かつて九死に一生を得る体験をしたという大学生が登場して同居生活に入る。だが彼は、子どもたちのところに沢井のように近寄っていくことはできなかった)。沢井はあるとき別れた妻に、「他人のためだけに生きることはできるやろうか」と問いかける。それは、もう心に決めていることを確認し、誰かに背中を押してもらうためだけに発せられた言葉だったように思う。
彼は、もう一度子どもたちをバスにのせ、凶行のあった場所から旅を始めようとする。旅のさなか、子どもたちは言葉を再び発する。殺人を犯した兄は「なんで人を殺したらいかんのか」と、沢井に向かって苦しげに声を絞り出した。妹は、海で拾った貝殻を自分に関係する人々になぞらえ、その人々の名を呼びながら、絶壁の上から一つづつ投げ捨てた。映画は、この子の名前を呼んだ沢井のもとに彼女が駆け寄ってくるところで終わる。
見終わって、何かカタルシスをえるわけではない。カタルシスというには、あまりに微細な感情なのだ。暴力は一瞬であり、苦しみは永遠とまごうほどに続いていく。人間同士をつなげているものは脆く壊れやすく、それを修復するのはいかに難しいことか。それでも兄妹がふたたび言葉を発した瞬間は、たとえそれが絶望的に哀しい状況であったとしても、他者とつながる回路が現われ出た瞬間であり、修復がなされつつあることを予感させる瞬間だったのではないか。
(10.mär.2006)
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パンレシピ5(ふすまパン)
今回はふすまパンです。
レシピ
強力粉 360g
ふすま 40g
塩 小1.5
イースト 専用スプーンA 0.7
お湯 250cc
普通に4時間焼き。
ふすまって、ホント、小麦のガラってかんじ。でもサクッとした食感を残した重くないパンが焼けるのですねー。安い上に多分ヘルシー・アイテム。カッテージチーズをのっけて食べました。
しかし、手持ちの材料では、レシピ5でストップかな。ライ麦粉100%で焼くとどうなるのだ?と思うんだけど、ライ麦粉は高いのでコスパ的に作りにくい。新しいレシピに挑戦したら、またメモすることにしよう。
自分で焼いたパンばかり食べているようだけど、最近は街中にでると、ついついパン屋さんのパンも買っている。ちょっと日がたっても生地がそれなりにもっちりしている。油分が多いんだろうなあ。自分のパンは焼きたてはおいしいけど、冷凍して解凍するともう味が落ちている。ほんと、日持ちしない。
映画評(『BeRLiN』)
利重剛監督の『BeRLiN』を見た。構成が凝っているせいか、話に入り込めないからか、あんまり集中できず何度かに分けてみた。やっと最後までみた。ちょっとしんどかった・・・。天真爛漫で・ちょっと過去にトラウマもってて・客に癒しを与えてくれて・しかもすっごくかわいいホテトル嬢が失踪してしまい、彼女を覚えている人たちがその思い出を語りあいながら、彼女を探そうとする、という話。なんというか、、、あまりにあからさまな欲望設定にカルくひいた。ま、別にどうでもいいけど。
ちょっと古いかんじがして、最初80年代の映画かと思ったんだけど、1995年ですか。あれ?そんなものなの? あと、タイトルもそうだけどカラーと白黒を使い分けたり、主人公の女の子が東京の雑踏を見下ろしながら独り言をつぶやいていたりするところは、『ベルリン天使の詩』を引用しているのかなと思った。
今は『シベリアの理髪師』という映画をみている途中。これはおもしろい。ロシア人ってすごくヘン!