下町

 朝方は雨がふっていたけれど、雨が止むとずいぶん春めいた一日になった。
 お昼ごはんを近所のお店に食べに行く。すし屋が隣に小料理屋を作っていて、そこを一度訪れてみたいと思っていたので、今日はそこに行く。狭い路地を入ったところにあって人目につきにくいせいか、昼の稼ぎ時なのに閑古鳥。でも所狭しと日本酒がおいてあって、ボトルキープもできるらしい。酒飲みの面々にはありがたいお店かも。ちなみにランチはポークピカタとサラダ、ごはんにおしんこ、お味噌汁と、きちんとしたメニューで650円也。すばらしい。三角形の錫の箸置きが可愛らしかった。これ欲しいなあ。気に入ったので、機会があれば夜に行ってみたし。ほんとにこの辺はお店のレベルが高いなあ。

 住んでいる所は高級住宅地でも郊外の新興住宅地でもなくて、非常に雑多に人が住んでいる町中である。地主もいれば貧乏人もいるし、外国人もいる。一人暮らしのお年寄りも多いし、マンションが林立しているから家族連れも多くて、こどももけっこうたくさんいる。隣の町まで行くと、金融ローンやスナックのお店が多くて、ちょっと治安が悪いかんじがするけれど、こっちの町は比較的住みやすい。
 わたしはこの雰囲気はきらいじゃないし、おいしいお店もたくさんあって、活気があるからいいと思う。でも友だちのリモくんは近所に住んでいるけど、この町がきらいだという。なにぶん東海地方の高級住宅街で育ったため、雑然とした町の雰囲気に神経がいらだつらしい。まあ、わたしに文句をいわれても困るんだけど、いちいち腹をたてていたら住めないって。ご本人の几帳面な性格も禍しているんだろうと同情はするけど、傍からみているかぎりは、けっこうなじんでいるから不思議だ。「住めばどこでも都です」とのたまった別の近所の知り合いは、どうやっても下町の雰囲気になじまない外見+生活スタイルだったので、人ってわからないもんだ。

 Elizabeth Harperを聴く。高めの声で、ときどき声がかすれるのがいいかんじ。