ベルリン・天使の詩

Der Himmel ueber Berlin
1987 年 仏、西独
監督: ヴィム・ヴェンダース
出演: ブルーノ・ガンツ
ソルベイグド・マルタン
オットー・サンダー


 天使の視線から見たベルリン。天使は人々の心の声を聞くことができる。声はどの声もどこか寂しげだった。図書館に天使がたたずむなかを、人々の声が何重にもかさなって響き合っているシーンが好きだった。老いた詩人がポツダム広場を、ここにはカフェがあった、ここでみんな語り合った、と何もなくなった空き地を杖をつきながら歩き回る。天使はあとをついていく。すごく悲しいシーンだった。
 天使が恋をして人間になったとたん、画面がカラーになり、それまで聞こえていた声がパタッとやむ。それからブランコのりの彼女を探しに行く。後半はそういうふうに希望が散りばめられていた。まだベルリンが冷戦の象徴で、壁が崩壊していない頃の映画だったから。 
 今ではポツダム広場は再開発のどまんなか。詩人の郷愁などふっとんでしまっている。それも時代の流れか。なんだか不思議な感じがする。
by kiryn (2001/10/19)


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