自分でやるより人にやってもらうほうがまし!というくらいの恥ずかしい作品を、わたしは夏休みの宿題として9月によく提出していた。ほかの人は標本作ってたり、ヘチマを自分で育てて、ヘチマ水とヘチマタワシを作ってきてたり――へー、こんなこと思いつくんだー、すっごーいと感心したりして。
わたしは理科の自由研究が嫌いで、なにを実験すればいいのか、てんで思いつかない科学音痴な子どもだった。でも宿題だしやらないわけにはいかないし……で、まず、教科書をぱらぱらめくり、自分にでもできそうな実験を探します。そのときに選んだのが食塩の結晶を作る実験でした。塩だけじゃ寂しいから砂糖の結晶も作ることにして、塩水と砂糖水を天日干しにします。二、三時間たって水が蒸発したあとには、茶色ーい汚ーい塩の結晶なるものがお皿の上に残ってて、それをセロテープで画用紙に貼り付けて、はい終了――てな具合の「実験」。
この実験はわれながらなんて下らないんだろうと、やってる最中から分かっていただけに、表紙に「自由研究」と書くのは恥ずかしかった。しかも9月に入ると、やっぱり後ろの棚に展示されて、誰でも閲覧できるようにされているのもいやだった。
ちなみに、砂糖のお皿には茶色い染みがついていただけだったので、「砂糖の結晶というものはない」――これが「実験結果」として書いた結論だったと思う。