近所に節分祭で有名なお寺があって、毎年この季節には大勢の人が御払いをしてもらいに訪れる。寺の周りから駅にいたる道には所狭しと屋台が並び、車も入らないように警察が通行規制する。朝から晩まで4日ほど続くので、にぎやかなことこの上もない。うっかりいつものくせで自転車に乗っていくと、人ごみにのまれて身動きできなくなってしまう。お寺のほうでは、山伏みたいな格好した人たちが、護摩をたいて何やらお経を唱えてはほら貝を吹いている。厄払いをしてもらう人が、山伏さんに勺で肩のあたりを叩いてもらう姿も見られる。狭い境内にびっくりするほど人があふれていて、いつもの数倍は広いお寺に見えるからふしぎだ。天気のいい日には我が物顔で歩いている鳩たちも、この期間だけは避難しているのか姿をみない。
祭礼のあいだは、普段の町の姿がすっかり変わってしまうのがおもしろい。道は通行規制しているからいつもの道が使えなかったり、休耕している畑が緋毛氈をひいた一大食堂に早変わりしていたり、スーパーの入り口が屋台に覆われて申し訳程度に見えているだけだったり、八百屋なのにこの期間だけ厄除け饅頭を売る店に変わっていたりする(←まるでもともと和菓子屋みたいだったように饅頭を売るおばちゃんたちがおかしい)。駅近辺のお店はどこも満員御礼で、もう寺町みたいな状態である。ちょっと離れたところには消防車や警察の車が待機していて、なかに警官がぎっしり詰め込まれていたりして、びっくりさせられる。
これだけ人が繰り出すのをみるとさぞかし効験あらかたなお寺なのかと思うが、なんせ近所にあるものだからいまいちありがたみがない。とりあえず厄除け饅頭と天津甘栗とベビーカステラを屋台で買って食べる。なんか最近食い気ばっかし…。
(Monday, February 05, 2001)