教会

 こどものころ住んでいたところは、やたら福音教会があってスウェーデン人の宣教師一家が近所に住んでいたりした。公園で遊んでいると若い白人のお兄さんが切手をあげるからといって、子どもたちを集めていたりもした。わたしも切手をもらい、そのあと何回か、寺子屋みたいなかんじで開かれていた英会話教室に行った覚えがある(今思えば、これはモルモン教徒の布教活動だったかもしれない)。それで、どういういきさつがあったのかはぜんぜん覚えていないのだけれど、いつしか近所のこどもたちと一緒に日曜学校に通うようになっていた。たぶん一年かそこらくらいしか通ってないと思うのだけれど、殊勝にも献金したり賛美歌を歌ったりお祈りしたりしていた。小学校二、三年生くらいのときのことだ。
 聖書のおはなしがイラストになったカードを毎回もらえて、それを専用のノートに貼りつけていく。こども向けに分かりやすくなってはいるんだろうけれど、聖書の話はなかなか物語的にもおもしろくて、今でもよく覚えている。クリスマスのときには景品で、かわいらしい男の子と犬の陶器のろうそく立てをもらった(でもそのあと、これを友達の誕生日プレゼントに使いまわしてしまった)。
 四年生のころにはもう教会に行かなくなっていた、と思う。いつのまにかその教会はただの空家になり、壊され、マンションになった。
(Thursday, April 26, 2001)