昼間は少し暑くて汗ばむので、いまだに夏物の服を着てしまう。カーディガンをもってはいくけど、昼間は羽織る必要がないくらい。でも窓をあけていると、金木犀の香りが部屋のなかに入ってくる。
小さいころ住んでいた家は、郊外の住宅地で、判で押したような建売住宅が立ち並んでいた。どこの家も同じ形で、同じような大きさの庭がついていて、どこの庭にも金木犀が植えられていた。だからこの季節になると、辺りはむせかえるほど、あの独特の匂いに包まれていた。オレンジ色の小さな花は、手で落とせばいくらでも落ちてくるし、すぐに地面の上に降り積もるから、かき集めてはままごと用に使っていた。
今住んでいるところには旧い町中なので、どこの家にでも金木犀があるわけでもなく、何軒かの家にあるばかり。それでも、庭木の前を通り過ぎたあとも、後ろ髪や背中で香りをかぎとっているような気がする。香りが途絶えてしまったあとでも、あのツンとする香りの気配が残っているような気がする。
こんなかんじでコメント欄をつけてみました。気が向いた方は、お気軽に書き込んでくださいまし。(でもわたし以外は消去できないので、ご注意を。)
金木犀って中国原産なんですね。と、内田善美さんの『星の時計のリデル』で知りました。雪のなかに金木犀の幻影が現れてくるシーンがあって、印象に残っています。