Waking Life
2001年 米
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ワイリー・ウィギンズ
イーサン・ホーク
ジュリー・デルピー
実写の映像をデジタル・ペインティングでさらに加工するという手法は、とりあえずスゴイ。たとえそれを思いついたとしても、金と手間と時間を考えたら、誰がそんなシンドイことするんだ?って思うようなことをやっている。実写でもなくアニメでもなく、しかもずっとユラユラ揺れていて、すごく不思議な映像だ。トリップ系の映像です。しかもストーリーがほとんどないに等しいので、催眠効果はばっちし。
というわけで、映像のおもしろさはホメておきましょう。さて肝心のストーリーですが、主人公(ウィギンズ)が夢から醒めると、突然まわりの人たちが哲学を語りだすというもの。このあらすじを読んだときは「おもしろそう」と期待したのだが、実際にみたらちょっと冷や汗モノだった。なんとゆーか、『ソフィーの世界』の『STUDIO VOICE』バージョンてかんじで、かなりヤバいです。
でてくる登場人物が深淵な哲学なり思想なりを語ってくれるのだが、これが延々続いてシャワーのように浴びせかけられる。深みのあるはずの内容が、全体としてみるとなんだかほとんど表面的な記号にしかなっていなくて、とてもじゃないけど、考えるための映画ではない。映像がトリップ系だから感覚の映画と割り切ればいいんだろうけど、それにしても、思想のカタログをぶちまけてるだけで、ユーモアもセンスもウィットも感じられない。堅すぎ。今もやってるのかしらんけど、『STUDIO VOICE』の見開きページによくあった系統樹を思い出しました。
なんでこれが「2001年〜」と「並び」称されるんだ? 並んでないっしょ別に。映像だけ並んでもしょうがないと思うんだけど。キューブリックの教養に裏打ちされたハッタリやスカシっぷりには、ぜんぜん及んでないじゃん。だいたいこの映画みて、マジで「人間とは何か」みたいな重いテーマを考えさせられる人っているのか?(Wednesday, Jan, 01, 2003)
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