アンティーク・ショップめぐり

 荷物がまだ届いていなくて、旅行が終わった気分にはならないんだけど、ちょっとずつ日記を書いてみよう。

 ドイツではとにかくアンティーク・ショップめぐりに重点をおいていた。ハイデルベルクとミュンヒェンに狙いを定めていたんだけど、街を歩けばおもしろいようにアンティーク・ショップにぶつかった。アンティークといっても、イコンや古道具や人形といったものは値打ちがわからないのもあって、ひやかし半分に眺めていただけ。ショーウィンドウに飾ってあるのは、観光客向けのパチモンなのか、本当に値打ちのあるものなのかもよく分からない。で、主にお金をはたいてきたのは古本屋さんということになる。でも古本屋さんでも、表に飾ってある品で「お、この店は」とピンとくるようなことはなかったな。
 古本屋とみれば、とにかく手当たり次第に店に入ってみた。ドイツの古本屋はすべてがそうとはいわないけれど、本当にいい感じの店が多かった。ゆっくり本を選んでくださいといわんばかりに、革張りのアンティークなソファや椅子が置いてあったり、珈琲サービスがあったりする。たぶん有料だとは思うのだけど、だとしてもかなり安いはず。普通の本屋さんでは50セントオイロ(←EUROのドイツ語風発音ね)で珈琲サービスがあったし、だいたい50円くらい。
 店のなかは静かで、時間が停止したような雰囲気を醸しだしている。店主は忙しそうにタイプを打っているのもいれば、椅子に座ってぼーとしている人もいれば、Kann ich helfen? と親切に声をかけてくれる人もいて、まあ千差万別。日本の古本屋店主の愛想がそんなにいいとも思えないので、ドイツの古本屋店主は愛想がいいほうかと思う。それに、日本の古本屋さんよりも空間が広くて、本の背表紙も見やすいようになっていた。まあ、なかには乱雑に本が積まれていて、どうしようもないなーここは、というような本屋もあったのだけれど(店主もヘンだった)。
  中古のレコード・ショップもたくさんあった。でも海外旅行にいってレコード買って帰るというのも大層なことだし、CDの中古を探していたんだけど、こういうのはほとんど見つけられなかった。でもミュンヒェンを発つ前日に、学生やら通勤客やらでごった返しているCDショップをみつけた。中に入ってみると、ロック・クラシック・ジャズを中心に、1枚2オイロくらいから5、6オイロくらいでCDが買える店だった。
 それぞれの客層でごったがえしていたので、夕方の店中はすごい状態だった。ロック系のCDはケースのみ、ジャズ系には半分くらいがケースのみ、クラシック系はほとんどCDレコード込みで置いてあった。盗難防止対策ということだろうけど、聞く音楽の傾向によって、ドイツでもかなりステレオタイプ的に人格が決定されている模様。
 ミュンヒェンはもう旅も後半でそろそろ飽きてきていたし、おまけにバカみたいに寒くて、雪は降るわ積もるわで、正直最悪だと思っていた。アンティーク・ショップめぐりで毎日のようにヒットがなければ、ちょっと割にあわない気分になっていたと思う。

 それにしても、なにやかんやと買い込んだ本をトランクにつめてきたのだけれど、いまだ手元に帰ってこないとは・・・とほほ。