雨だ風だといっても、桜はまだ咲いている。見ごたえのある時期はすぎてしまったけれど、道路や舗道のうえに薄桃色の花びらがこれでもかとふりつもって、その辺りは空気が華やいでいる。風がふいて桜の花びらが盛大に散るのも見るのもまた楽しい。
こどものころ住んでいたところは、なかば田舎の郊外の住宅地だったから、のんびりしていた。桜の咲いているお寺の境内を散歩したり、桜の咲き乱れている公園のベンチに座ったり、桜をゆっくり眺める時間と場所があった。今住んでいるところは、住宅も密集しているし車の通りもそこそこあって、せわしない。桜は咲いていても、いつも通りすぎるだけで、盗み見ているようなかんじである。すこし、残念。