ハーブティ

荷物は昨日やっと届いた。大きなへこみはあったものの、中の物品は比較的無事だった。チョコレートが割れたり、液体物が流出したりというサイアクな状況も想定していたから、胸をなでおろす。今日、修理にだすトランクをとりにきてもらい、とりあえず一段落ついたというところ。今回のようなことがあると、責任の対象が不明確になる格安航空券を買わなくてよかったと心から思った。

 トランクのなかにはドイツで買ってきたハーブティが入っている。珈琲・紅茶もいいけれど、むこうにいってチェックしたいのは、ハーブティだ。とにかく種類がたくさんある。おまけに安い。単品で、カモミールだのマリーゴールドだのというのもあるけど、ブレンドされているのもたくさんある。どれにしようか迷うのが楽しい。
 買い物をするとき、いちいち辞書を持ち歩くわけではないから、何のお茶なのかよく分からないことも多い。デザインや花の絵をみて、おいしそうかどうか判断して買っていた。そんなかかで、「Nieren-und BlasenTee」という、小さな小箱に青色のきれいな花の絵がついているのを買った。ホテルに帰ってお湯を沸かして一口飲んで、あまりのまずさにひっくりかえりそうになった。慌てて辞書を開いて調べてみると、Niereは腎臓、Blasenは膀胱や胆嚢のことだという。てことは、これは腎臓病や膀胱炎になっている人が飲むお茶だってこと? 病気になりそうな風味にあてられて、ベッドの上でぐったりしてしまった。しょうがないからこれは誰かへのおみやげにしよう。

 オランダで一泊するはめになったとき、ホテルの手配をしてくれたKLM職員が「トイレット・バッグはいるか?」と聞いてきて、「?」となった。でかいポーチを手渡されて、やっと化粧品・洗面用具の類だと分かった。toiletにそんな意味があるとは知らなんだ。
 このグッズのなかに、デオドラントのボディ・スプレーが入っていて、説明書を読むと「アロエの香りで一日中気分爽快」みたいなことが書いてある。ブシューと思いっきりスプレーした瞬間に後悔した。朝のラッシュ時の電車のなかとかでよく嗅ぐこの匂いは・・・。よく見れば、シェービング・クリームと同じデザインの容器じゃないか。相方に
「オッサンくさい」
といわれ、洗面所に駆け込んで涙ながらに匂いを洗い落としていた。ここでもKLMに対する怒りが再燃していた。このボディ・スプレーも誰かへのみやげにしてやる。