印象派

 東京の国立西洋美術館に行った。常設展のみ鑑賞。でもよくこれだけ集めたなあと感心するくらいあった。17世紀以前、17世紀、18世紀、印象派、印象派以後、現代とそこそこ量があって、西洋絵画の流れをみることができた。
 モネとロダンが一大コレクションらしく、超有名どころの作品がばんばん飾ってある。日本人が印象派大好きなのは、西洋美術独特の「意味」が剥落していくプロセスにあるからだ、と読んだことがある。とくに宗教画に顕著なように、聖書の題材をもとに描かれた絵には当然「お約束事」があって、キリスト教圏でもない人間にとってはお勉強しないと分からないことが多い。でも印象派あたりになると、そういうお約束事を無視しちゃえ、目にみえる現象を描くぞーということになってくるから、特定の文化圏外部の人間にはとっつきやすくなるわけですね。
 まあ、それはともかく、印象派は「光」の粒で絵画を描こうとするから、それはそれですごくおもしろい。目に見える現象は光の粒に分解できるのですね。それを寄せ集めると、なにかしら人間にとって意味のある姿が浮かび上がってくる、と。モネの作品では、霧のなかに浮かぶロンドン橋かなにかを描いた作品がおもしろかった。薄桃色の光の粒子が微妙にグラデーションをつくっていて、一瞬みると、ピンクのもやもやした絵だった。これを「霧」と思えるのも、よく考えると不思議だ。

印象派」への3件のフィードバック

  1. nozaki

    西洋美術館の松方コレクションは、何度か見たことがあります。けっこう印象派のいいものがそろっていて、すごいですよね。
    あれでも戦争のときに、失われたり、海外に置いておいて、そのまま持って行かれたりしたものがあったようで、当時のまま残っていたら、大変なコレクションになっていたと思います。
    美術館って、やっぱり常設に魅力がないと、いけないなとつくづく思います。

  2. kiryn

    同感です! 
    たしかに日本では常設を見に行くという発想があまりでてこないかも。企画モノを見て、ついでに常設も見る、という行動パターンになっていますね。それはそれでいいのですが、ふらっと常設を見に行ける美術館が近くにあるといいなあ。
    松方コレクション・・・戦前の人は豪気です。戦争で失ったものって、たくさんありそうですね。物質的なものにかぎらず。

  3. nozaki

    そういえば、京都の国立近代美術館の常設。数は少ないけど、楽しめます。海外のものではモンドリアンなんかもありましたが、河井寛次郎の陶板がまとまって置いてあって、100円くらいで見れました。
    ずいぶん前のことですが。

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