嶽本野ばらの『カフェー小品集』をぱらぱらと読む(読んでる途中)。友人は野ばらさんをさして、「吉屋信子や森茉莉の路線をひきついだのがオトコだったというあたり、21世紀だわよねー」と見事にまとめてくれたが、まったく同感。
「君も僕も、もう蒼い季節など乗り越えてから幾久しいというのに、どうも思春期の感情が抜けきらず、というより年を経るごとにその感情が増大していくタイプのようで、蒼さを八分の諧謔と二分の熱のバランスで愉しむことを常としておりました。」(10頁)
などという文章に思わず笑ってしまいました。そんなに冷静でどうする。21世紀のオトメは現実から飛翔して「わたしの美の世界」を創り出すには、幾分ナイーブのようで、現実の生活臭漂う生命力に抵抗するには、狂気のエッセンスが少々足りないのかしらん。