2004年 米
Fahrenheit911
監督:マイケル・ムーア
出演:ジョージ・W・ブッシュ
この映画はもはやドキュメンタリーではないし「映画」でもない。悪しき支配者と虐げられる者たちという扇動的でベタなプロパガンダ映画の作りになっていることや、「ボーリング・フォー・コロンバイン」に比べても、構成や内容がめちゃくちゃになっていることは、このさいもうどうでもいい。ブッシュ政権の茶番ぶりを徹底的に笑い者にしつつ、その茶番っぷりは映画のなかだけに収まっていない。それこそ、この映画自体が茶番である。映画をめぐる一連の騒ぎも、憤りを感じたりカタルシスを感じたり拍手喝采したりするわたしたちも、この映画を通じて、21世紀初頭の収拾のつかない政治状況につながっている。
いい映画だ、とは必ずしも思わないけれど、今の時代における政治的出来事の一つとしてなら意味はあると思う。見ていて体温のあがる映画であることはたしかだ。ムーアの意気込みとエネルギッシュな姿勢には脱帽。
(30.aug.2004)
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