プライス・コレクション 若冲と江戸絵画展

 まだ紅葉の季節には早いけれど、秋の京都に遊びに行った。目的は京都国立近代美術館で開催されている「プライス・コレクション 若冲と江戸絵画展」を見に行くこと。東京の方でやっているなあ、おもしろそうだなあと思っていたので、今回は絶対見に行こうと決めていた(最近、絶対行く!と決めないと腰が上がらなくなってきたので・・・)。予想どおり混んでいたから、じっくり見ることはできなかったし、なんとなく気疲れしてしまったけど、展覧会はおもしろかった。
 ただ、おもしろかったといっても、若冲どころか琳派についてもほとんど知識がない上で見ているので、専門的な見方はできない。そのうえで、印象に残ったことをメモっておく。
 まずなにより、ヨーロッパの博物学の流れと共通するものがあるのではないかという印象を強く受けた。というのも、虎の毛並みや鶏や鶴など鳥類の羽の模様など、細部の描写に執念を感じるものが多かったからだ。多様な動物や鳥類を一枚の掛け軸や屏風に収めようとする作品もいくつかあって、それらはさながら博物誌の様相を呈している。そこに描かれている動物や鳥たちは、生命力やエネルギーを感じさせるものというよりは、剥製や標本に近い無機質さを感じさせる。細部へのこだわりが一種の科学的眼差しと交錯しているように思えるのだ。若冲が、従来ならば鳳凰を描くところを、それは幻想の動物だからという理由で拒否して、あえて鶏で描こうとした精神も、こうした傾向と関連していたのではないだろうか。
 当時鎖国をしていた日本に、ヨーロッパの潮流がダイレクトに入ってくることはなかっただろうから、こうした眼差しが日本独自に登場してきたものなのか、それとも、世界の流れと連動する何らかの原因があったのかは分からない。とても興味深い点なのだけれど。
 あと、この展覧会の作品に共通する傾向として、バロック的要素も多少はあったのかなという気がする。まあバロックというほど大仰なものでもなくて、フリーク好みといったところか。江戸後期という時代状況もあるだろうし。このあたりが、今の日本の風潮と連動している要素なのかな? あとは、細部描写の眼差しが、コンピュータ・グラフィックと近いことから(若冲のタイル画などはそのまんまピクセルにも見えるわけで)、今のわたしたちはコンピュータ的な目線で若冲を見直しているんだろうなと思った。

プライス・コレクション 若冲と江戸絵画展」への2件のフィードバック

  1. Keiko

    こんにちは。
    私も若冲展、行って結構衝撃を受けて
    帰ってきたんですけど、kirinさんの
    記事にも衝撃を受けました(本当です笑)!自分では言葉に出来なかった事が
    的確に表現されていて・・・。
    —————————
    後、お誕生日おめでとうございます、
    遅ればせながら・・因みに私もお誕生日
    9月なんですが、kirinさんは何日ですか??

  2. kiryn

    Keikoさん、こんにちは!
    秋めいてきて、ずいぶん過ごしやすくなりましたよね。
    若冲展、とりあえずのメモ書きという感じでとりとめがないのですが、Keikoさんも似たようなことを感じておられたのならば、あながち間違っていない感想かなーと思いました。
    琳派が流行っている、ということもあまり知らなかったのですが、この展覧会をみてなんとなく今の時代風潮と似ているところもあるのかなと思った次第です。まあそうでないと展覧会自体が開催されたりしないわけですが。
    いちばん印象に残ったのは、雪景色を描いたものかなあ。白黒反転させてあったのが新鮮でした。
    >後、お誕生日おめでとうございます
    ありがとうございます^-^
    >因みに私もお誕生日
    9月なんですが、kirinさんは何日ですか??
    え、ほんと? Keikoさんも秋生まれなのですね。わたしは26日です。天秤座なの。近いですか?

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