ドイツ対ブラジル

 遅ればせながら、6月30日のW杯決勝戦について。
 この数日前に、ともだちのリモくんたちを呼んで、うちでテレビ観戦しようということになっていた。前段階でリモと話をしていて、わたしがドイツを応援する!といってるのに、彼はぜんぜん乗ってこない。ドイツはブラジルには勝てない、カーンのゲルマン人顔をみていると、コイツもどうせエゴイストでいやなヤツにちがいない、ゲルマン魂などというがそんなものはない、とかなんとか散々にこきおろす。じゃあブラジルを応援するのか、ときくと、ブラジルの国民性はオレには合わん、あんなサッカーのことしか考えていない国はいやだとかいいだす。ほかに呼んだイッポリートとキザキくんも、「サッカーはどうでもいいけどメシ食えるんなら」というので来るという。なんだか不安なメンツだが、とりあえずみんな6時半頃にうちにくるようにと号令をかけておいた。
 当日、リモくんは昔のドイツのユニフォームを来てあらわれるやいなや、でかい声で「ドイチュランド!ドイチュランド!」とコールしだした。「勝利の美酒にとっておきましょう」とワインを差し出し、応援グッズとして、わたしとpallaさんのドイツ・ユニフォームまでもってくる始末。どうも徹底的にドイツ応援するぞ!に頭をきりかえたらしい。サッカーが始まるまでに夕食を食べ、万全の体制で応援に臨む。イッポリートは「オレ阪神ファン」とかいいながら、リモくんがドイツを応援するのを見ると、ひそかにブラジルを応援しだしていた。ブラジルが点をいれるだびに、「やったー!」とリモのほうをむいて小声で叫ぶ。この小心者!ブラジルを応援するのは巨人を応援するのと一緒だぞ。見ろ、スタジアムほとんど黄色じゃないか。
 でもまあ、しょせん、ドイツ応援する連中なんて、独文関係者か世界規模で展開している某語学学校生くらいなんだろうよ。しかしイッポリートは「そうでもないよ」という。「軍事オタクも応援しているはずや。今ごろきっと、ハイル!ハイル!とかいってるって」。・・・・・・サイテーだ。pallaさんもドイツ・ユニフォームを着せられてはいたが、ロナウドみたいなタイプに弱いから、心情的にブラジルを応援していたのではないかと思う。キザキくんは静かに観戦するタイプらしく、試合中は非常に静か。リモくんとわたしとで、ひたするドイツ・サポに徹して騒いでいた。
 前半まではよかった。カーンの出番もあまりなく、それはドイツが攻めているんだから、この調子でいけば、ブラジルは絶対あせりだすと思っていた。ブラジル人は調子がいいとどんどん調子よくいくが、あせりだすと調子を悪くしていく国民にちがいないと勝手にきめつけて、後半に希望をつないだ。なのに、結果はドイツの負け。2点目入れられた時点でわたしは観戦の集中力が切れてしまったが、リモは突然「ゲルマン魂だ!」とさけびだす。おいおい、それは禁句じゃなかったの?と釘をさしても、「こうなったらゲルマン魂しかない!」。ないって、そんなもん。韓国とアイルランドにはあるかもしれんけどさ〜。
 宴のあとは、頭きりかえて仕事です。ただ、帰国した傷心のドイツチームを、ドイツ市民が歓呼でむかえたというニュースを知って、素直によかったなあと思った。あと、ロナウドのちょんまげ。コイツすごいわ。pallaは「センスあるね!」とベタぼめ。ドイツ人は、たとえ優勝してもちょんまげで凱旋帰国はしないだろう。