紅葉狩りをかねて奈良の信貴山にハイキングに行く。
ハイキングといっても、さすがに運動靴は履いているものの、街中を歩く格好と変わりないくらいの軽装で、山中で出会う人たちの服装とはなんか違っていて、まるで間違って迷い込んだ人みたい。それにわたしはアウトドアの経験値がかぎりなく低い人間なので、「イノブタに注意!」とか「落石注意!」とか書いてある看板に出くわすと、いちいちビビって心臓にわるい。イノブタって何?イノシシのこと?注意しろって言われてもどう注意したらええのん?だいたいイノシシならともかく熊とか出たらどうしよう、といった(多分どーでもいい)思考のループから抜け出せなくなる。それでも山は空気も澄んできれいだし、山あいに黄色・緑・赤が入り混じる秋の風景を見ているときだけは、デトックスでロハスな休日を満喫するワタクシになる。あとは日ごろの運動不足がたたって、ひたすらしんどいだけ・・・。
山を越えて、真言宗の総本山にたどりつく。この辺は車であがってきた観光客もいっぱい。お山の中は銀杏や紅葉が鮮やかだった。毘沙門天を祀っているお堂には、なんでも貴い宝玉が納められているらしく、100円払えばその宝玉のそばにまでいけるという。何の気なしにやってみたけど、これが意外におもしろい。細い階段をおりていくと通路は真っ暗で、いつまでたっても目がなれないくらいに真っ暗なまま。そこを壁の感触を頼りに進んでいくと、小さな祠があって、毘沙門天や阿弥陀如来や不動明王らの小さな仏像が祀られている。更に進むと、鍵がかかっている場所があって、そこに宝玉が納められているらしい。でも目は見えないままで、鍵と格子の感触だけで宝玉の存在を想像するという仕掛けになっていた。
お山はけっこう不思議空間で、あちこちに寅がいるのはご愛嬌。民衆信仰が色濃く現われているところがおもしろかった。