オルランド

Orlando
1992 年 英・露・伊・仏・蘭
監督: サリー・ポッター
出演: ティルダ・スウィントン
シャーロット・バランドレイ
ヒースコート・ウィリアムズ


 ヴァージニア・ウルフの『オーランドー』を映画化した作品。エリザベス1世の時代から現代まで、時空を超えて生き続ける青年貴族オーランドが主人公。
 エリザベス女王の時代にロシアの姫君と氷上スケートを楽しむ様子、大使となって中近東に赴任する様子など、見事な絵巻物になっている。
 いちばんのハイライトは、オーランドが病に伏したあと、女性に変化するシーン。なぜ女性になったのか、などは問われない。オーランドは女性になった自分をすんなりと受け入れ、「わたしはわたし」と呟く。このあたりは、フェミニストとしてのウルフの思想が鮮やかに簡潔に表現されているところだろう。オーランドは今度は、青年貴族の姿から美しい貴婦人の姿となって皆の前に姿を現す。
 ところが時代は18世紀。女性に相続権や財産管理権など、貴族の家長としての権利は一切認められていなかった。オーランドは一切の財産を失う。そして彼女はアメリカに渡り、南北戦争を舞台にある男性と恋に落ちる。彼とのこどもを生み育てるとき、オーランドは20世紀に生きている。
 オーランドは、彼であり彼女であり、女性の恋人であり男性の恋人であり、自由にジェンダーの境を越境し攪乱しつづける。不思議な魅力と力強さに満ち、わたしたちの想像力を喚起しつづける。
by kiryn (2001/12/12)


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