2007年、米
監督:ケヴィン・リマ
出演:エイミー・アダムス
パトリック・デンプシー
ジェームス・マースデン
ディズニーによるディズニーのパロディ。なかなかうまい出来映えでびっくりしました。コドモ向けかと思えば、意外とオトナ向け。しかもいちばんのターゲットは「人生こんなもんかとちょっとくたびれかけてきた中年男性」か?
さて、ディズニーのお姫様といえば、森の中に住んでて歌を歌えば森の動物たちが寄ってきて、服を作ってくれたり掃除を手伝ってくれたり、悪い魔法使いが出てきても絶対誰かが助けてくれる美少女。幸せな結婚をすることを信じて疑わないお姫様と白馬にのった王子様は、会った瞬間恋におちて、次の瞬間には結婚して幸せな一生を過ごしましたとさ、である。
この超非現実的なおとぎ話の主人公たちが、そのまま現在のニューヨークにトリップしてしまう。純白のレースがふんだんについた可憐なお姫様が、いきなり帰宅ラッシュで超混雑しているニューヨークの街に飛ばされる。「お城はどこですか〜?」といいながら人込みにおされて地下鉄の階段下に消えていくお姫様。剣を片手にマンホールから飛び出してきては、「閉じ込められた哀れな村人たち」(=バスの乗客)を助けようと一悶着をひきおこす王子様。コスプレするのも場所と時間帯を考えろよみたいな、なんてメーワクな存在…。けっこうシュールなネタもたくさんあって、「みんなお掃除手伝って〜」とお姫様が窓から動物さんたちに呼びかけると、都会の動物さんたち(主に害獣・害虫系)がワーと集まってきたりもする(CGと分かっていてもドン引きした・・・でもお姫様は引かない!すごい!たくましい!)。笑えるシチェーションが満載で、見ていてずっと楽しめる。
お姫様のノリを前にしては、「現実はそうもいかないんだよ・・・」とボヤくばかりの中年男性も、彼女のものすごいデトックス作用ですっかり発想をポジティヴに変えてしまう。お姫様というのは、どこにいても前向きな姿勢と優しさとを失わず、周りを幸せにすることのできる人なのですね(多少メイド・イン・USAが入っているけど)。エネルギー・チャージ系映画です。でも王子はアホすぎ。精神年齢5歳の男児だよアレじゃ。
(2008.apr.7)
ma