contes des quatre saisons: conte d’ete’
1996 年 仏
監督: エリック・ロメール
出演: メルヴィル・プポー
アマンダ・ラングレ
グウェナエル・シモン
数学専攻でもうすぐ企業で働くことが決まっているガスパール(メルヴィル・プポー)が、アコースティック・ギターを片手に、夏のリゾート地にやってくる。観光客で賑わう海水浴場や街中を一人歩き回るが、彼は来るかどうか分からない恋人レナ(オーレリア・ノラン)をあてもなく待っている。
7月17日から始まる夏の日々、ガスパールは小さなレストランでバイトするマルゴ(アマンダ・ラングレ)と仲良くなる。民族学を専攻するマルゴは、どんな人間に対しても興味を示し、親しく打ち解けて話をすることができるけれども、ガスパールは集団が苦手で人となかなか打ち解けられない。女の子に対してもナイーブで、レナとの関係も友だち以上恋人未満な状態が続いている。「ぼくは愛されないと愛せない」と呟き、自尊心が高くて不器用な姿を垣間見せる。
海辺や陽の照らす山道やお城のそばを歩きながら、マルゴとガスパールの会話が続く。
マルゴは、美形なのにナイーブなガスパールにかなり好感をもつんだけど、ガスパールのほうは、今度は、セクシーなソレーヌ(グウェナエル・シモン)の積極的なアプローチにあっさりついていってしまう。あれあれあれ?というかんじで、軽ーいオトコになってしまう。そのあと、さらにレナが登場して、ガスパールはワガママでプライドの高いレナに振り回されるハメになる。マルゴとソレーヌとレナの三人に「ヴェッサン島へ一緒にいこう」と同じ内容の約束をしてしまうため、ガスパールはさらに窮地に立たされてしまう。
結局この窮地は脱したものの、二兎どころか三兎とも得られないまま島を去ることになり、ガスパールは、女の子とうまくいかないのがぼくの運命だ、とうそぶく。でも、マルゴにあっさり、自業自得でしょ、と釘をさされてオシマイ。
見ているうちに、マルゴに感情移入していっちゃって、マルゴの視線でガスパールの「もう!しょうがないわね」的な行動を追ってしまう。赤いビキニもかわいいし、美人ではないけど一番魅力的だった。
ガスパールは黒髪ボサボサで顔がきれい。すごくかわいいかんじ。女の子たちはガスパールがまわりの男の子と毛色がちがうからついつい惹かれてしまうし、そういう気持ちもよく分かる。でもつきあうと優柔不断でへんにプライド高くてクセモノ。セクシーなソレーヌにふらふらと惹かれていくあたりは、おいおいってかんじだったけど、ソレーヌもまた気性が激しくて、竹を割ったような性格なので好感はもてる。いちばんわかんないのが、レナ。ガスパールの「理想の女性」ということで登場してくるんだけど、ぼてぼて歩くし喋り方はだるそーだし、ちょっとエラはってるし性格悪いし、ガスパールの趣味が悪いのか、単なるミスキャストなのか迷うところだ。
でも「ラブコメ」なんて言葉で片付けるのはもったいないほど、主人公たちの心の動きが繊細な映画だと思う。映像も色合いが柔らかくて、やさしいかんじ。
by kiryn (2001/12/14)
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